館内のそこかしこに飾られた野花は、わたくしどもが前の年から祈りをこめる想いで育てた花でございます。「一日でも長く咲いて、美しい姿を見てもらえるように」と、毎朝、女将が真心こめてしつらえ、ていねいに手入れをしています。
あざやかな花はできるだけひかえ、野花ならではのやさしい色味を大切にいける。花器や掛け軸などの装飾品と調和させることも忘れずに。「少し物足りないくらいが心地いい」との心得のもと、楚々としたたたずまいをかなえた花あしらいが、深い癒しをとどけます。

かつて訪れた那谷寺(なたでら)にて、咲き誇るリンドウの美しさに感動したことがきっかけで、山野草に興味を抱くようになった女将。いつ、どこに、なにが咲くかを把握し、自らも栽培を試みてきました。
また、それぞれにまつわる伝説にも精通。悲喜こもごも、とりどりに宿る情感に心ふるわせながら、日々、野花を館内にあしらってきた15年間。そこにいきるのは、「お客様を感動させるためには、自分も常に感動していないと」という信条。その信条が反映されたさかえやの花あしらいには、もてなしの粋があふれています。